「ママ、ご飯の次はこれを食べるんだよ! そのあとはお味噌汁!!」
最近、娘が三角食べを強要してきます。三角食べとは、ご飯、おかず、汁物の順でご飯を食べる方法で、幼稚園の給食で教えられたみたいです。
「食育のため」「日本の食事マナーである」なんて言われると、やらざるを得ないかと思うのですが、そもそも三角食べって本当に大事なんでしょうか。一種類ずつ食べるのはいけないの?
栄養をバランスよく取ることができる?
私の娘は好きなものを先に食べる派。最後に嫌いなものばかりが残った食器を見て、「なんかお腹いっぱいになっちゃったなぁ」なんて言い出すようになりました。
三角食べをすることで、ご飯→おかず→汁物とまんべんなく料理を食べられるので、嫌いなもののお残しは減ります。これはかなり重要なメリットと言えるでしょう。
ただ、「お残しはゆるしまへんで」で育てれば解消されるのでは。
むしろ、ダイエットでは汁物→野菜→肉・魚→炭水化物(ご飯)の順番で食べた方がいいんですよね。血糖値が急激にあがることがなく、脂肪がたまりにくくなるといいます。
産後太りが気になるママとしては、ぜひ痩せやすい順番で食べたいものです。
口内調味ができる?
ご飯を口の中に入れ、おかずで味付けをするという「口内調味」は日本独特の食べ方です。
ご飯とおかずを口の中で組み合わせることによって、さまざまなメリットがあると言われています。
- 自分で味の濃さを調節できる
- おかずとご飯の組み合わせで味の幅が広がる
- いろいろな味を体験できる
たしかに、おかずを食べながらご飯を口の中にいれると、単品では味わえないおいしさがあります。和食の繊細な味は三角食べでこそ引き立つとも言いますね。私も和食のときには自然と口内調味をしています。
和食はそもそも三角食べ前提
夫と義母がいわゆる”ばっかり食べ”なので、同居時代には味付けに苦労をしました。
私は味のバランスを考えて、味付けの濃いおかずと薄いおかずを作るようにしていたつもり。和食ってそういう組み合わせが多いですしね。主菜が醤油ベースの濃い味付けだと、副菜はさっぱり浅漬けとか。
でも、夫から「これは濃くて、こっちは薄いから食べてて飽きる」とクレームが。
「濃い、薄いを交互に食べてよ。全体でバランス良くなるように作ってるのに。間とって全部同じ濃さのおかずとか嫌でしょう?」
なんて返しましたが、夫としては不服だったようです。
しかも、和食って三角食べや口内調味を前提としているからか、味付けは濃い目。だから余計に、主菜の味付けが濃すぎると感じたのでしょう。
薄味を心がけていますが、そうすると今度は逆に「同じような味付けばっかり」って言われてしまったり。やっぱりバランスは大切ですよね。
でも、考えてみると私も、こうした味のバランスを取るのは和食のときだけ。
洋食だと、基本的におかずはサラダと主菜です。サラダはマヨネーズやドレッシングをかければ一品で食べられます。洋食の主菜は付け合せがついていることが多いので、味の濃さはそれでバランスを取ります。
洋食は一品一品で独立して食べられるようになっているんですよね。フレンチ食べに行って「口内調味したいからご飯が欲しい」とは言わないじゃないですか。
フレンチにはパンがありますが、ご飯とは意味合いが違います。フレンチのパンは食事のためではなく、次の料理へのつなぎ、口直しみたいなものです。だから基本的には料理と料理の合間に食べるもので、料理を食べている最中には食べないものなんです。
こうやって洋食は味が混ざらないための工夫がされているので、和食以外を三角食べしようと思うと戸惑ってしまうのではないでしょうか。
食事内容に合わせて、多様な文化を伝えたい
やはり三角食べは日本独自のマナーであり、和食にこそ合う食べ方。だから、和食のときには三角食べがいいかもしれないけれど、そうでない場合は三角食べでなくてもいいのではないかと私は思います。
口内調味よる味覚の発達が三角食べの最大のメリットなのだとしたら、なおさら和食以外では効果がなさそう。
しかも、三角食べ推奨派の中には「ご飯だけで食べるとか無理」って人もいて、それはそれで私は寂しさを感じます。白米おいしいよ。白米だけでも噛めば噛むほど甘くなっておいしいよ。
離乳食でも「おかゆとおかずを混ぜてもいいけれど、たまにはおかゆだけで素材の味を教えましょう」なんて言われるんですよ。一品だけを食べて、素材の味を楽しむこともときにはアリなんですよね。
「日本人だから三角食べをするべき!!」ではなくて、「日本人だから三角食べは知っておいた方がいいかもしれないけれど、食事内容によっていろいろな食べ方を知ってみよう」というスタンスでいきたい。
子どもは混乱するかな。最初は日本人としての作法を身に着けさせながらも、多様な文化があることを少しずつ教えていきたいですね。