「退院してからも3ヶ月まではおうちでK2シロップを飲ませてあげてくださいね」
[st-kaiwa1 r]……K2シロップ?[/st-kaiwa1]
下の子の退院指導で出てきた聞きなれない言葉。娘を産んだ2013年にはそんなことは言われませんでした。医学は日々進歩しているんですね。
[st-kaiwa1 r]初めてのことでがっつり聞いてきたのでまとめておきますね![/st-kaiwa1]
最初にK2シロップについての説明が続きます。
飲ませる方法や飲み忘れ、吐き戻しについては目次から飛ぶことができます。タイトルをクリック(タップ)してみてください。
K2シロップの「K」はビタミンK
赤ちゃんはママから栄養や免疫をたくさんもらって生まれてきます。
でも、ビタミンKは胎盤を通りにくいため、生まれたばかりの赤ちゃんは十分な量のビタミンKを持っていません。
しかも母乳にはビタミンKがあまり含まれていないため、母乳で育てられる赤ちゃんはビタミンKが不足し「ビタミンK欠乏症出血症」になりやすいのです。
K2シロップはそれを予防するための薬です。
「ビタミンK欠乏性出血症」とは?
血管が切れると、血液の中の血小板が傷をふさごうとします。血小板は血液の中にある、血を止めるための因子(血液凝固因子といいます)を活性化させます。この因子が働くのにビタミンKが必要なのです。
つまり、ビタミンKが不足していると血が止まらないんです!
ビタミンK欠乏出血症には
- 新生児ビタミンK欠乏性出血症(生後2日~4日で発症)
- 乳児ビタミンK欠乏性出血症(生後3週~2ヶ月で発症)
の2つがあります。
●新生児ビタミンK欠乏性出血症
血便がでたり、吐血したりします。
大部分は消化管からの出血ですし、入院中の発症なのでそれほど大事にはなりません(まれに頭の中で出血を起こして後遺症が残ることもあります)。
●乳児ビタミンK欠乏性出血症
ほとんどのケースで頭蓋内出血を起こし、重傷化しやすいです。
頭蓋内出血を起こすと約2.5割が死亡、5割に脳性まひなどの後遺症が残ってしまいます。
男の子の方が女の子より2倍発症率が高く、初夏から晩秋にかけて発症しやすいというデータがあります。
ほとんどはK2シロップを飲ませれば防ぐことができ、K2シロップ自体による副作用はありません。
参考片山こどもクリニック ビタミンK 欠乏症
参考新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版)
K2シロップの飲ませ方
飲ませるのは「ビタミンK2シロップ剤2mg」。産婦人科から自費で購入。うちは8回分で1,000円でした。
出生時、退院時、1ヶ月健診時には病院で飲ませてくれます。
自分で飲ませなければならないのは1ヶ月健診後、1週間おきに8回です。
1ヶ月健診が月曜日だった場合、毎週月曜日に飲ませます。カレンダーや手帳、スマホアプリなどを使って忘れないようにしましょう。
時間は赤ちゃんが適度にお腹が空いていて機嫌のいいときならいつでもOK。
あまりにお腹が空いていると暴れたり、泣いたりしてうまく飲ませることができません。興奮して吐いてしまうことも。お腹がいっぱいでも飲まないので、そういったときは1回見送って次のタイミングを待ちましょう。
- スポイトで飲ませる
- スプーンで飲ませる
- ミルクや母乳、湯ざましに混ぜて哺乳瓶で飲ませる
- 哺乳瓶の乳首で飲ませるおすすめ
スポイトで飲ませる
スポイトは病院で売ってもらえる場合もありますし、自分でもドラッグストアなどで買うことができます。
口の奥まで直接入れて飲ませることができるので、楽ではあります。
ただ、スポイトは洗いづらくて衛生面が心配。
何度か水を吸ったり出したりして内部をきちんと洗い、しっかりと乾燥させたうえで消毒する必要があるのですが、内部がなかなか乾きません。
消毒についても、熱湯・レンジ・薬液のどれができるのか購入時に確認する必要があります。
スプーンで飲ませる
抱っこした状態でスプーンで飲ませるのはこぼしそうになるので、私はできませんでした。
意外と成功する人は多いみたいですので、一回トライしてみてもいいかも。
ミルクや母乳、湯ざましに混ぜて哺乳瓶で飲ませる
たまにミルクや母乳に混ぜてしまう人もいるそうですが、あまりよくありません。
薬を混ぜてしまうとミルクや母乳の味が変わってしまうため、その後ミルクや母乳を拒否する場合があるんです。
あと、もしミルクを飲み残しちゃった時にK2シロップも飲み残すことになりますよね。ミルクに混ぜてしまうと、どのくらいK2シロップが残ってしまったのかわからなくなってしまいます。
湯冷ましで薄めるのは体内吸収がよくなりますが、新生児にあまり多く湯冷ましを飲ませてしまうとお腹がいっぱいになってしまうので注意が必要です。
おすすめ:哺乳瓶の乳首で飲ませる
産婦人科でもこの方法で教えてもらいましたし、一番楽だと思います。
一番の利点はなんといっても、赤ちゃんを寝かせたままでもいいということ。
赤ちゃんは寝かせたまま乳首を舌の上にのせてあげましょう。ちゅくちゅく吸い始めたら、かなり乳首が揺れますのでこぼれないように注意してください。
ただし、哺乳瓶の乳首は慣れてないとまったく吸いません。
新生児だとまだなんとなく口に入ってきたもの吸う可能性がありますが、1ヶ月経っていると吸わない赤ちゃんもいるかも。
それでも、適度にお腹が空いて口がもぞもぞしたタイミングを狙うと吸ってくれる場合があります。
哺乳瓶は母乳育児だから持っていないという人もいますよね。
新生児用の乳首は200~500円くらい。8回しか使わずきれいなままだと思うので、8回使い終わったら誰かにあげてしまえばいいですし、逆に誰かのおさがりをもらってもいいですね。
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母乳育児でも哺乳瓶はひとつ持っておくと何かと安心です。
最初の哺乳瓶はどのくらいの大きさが何本必要なの? 完母希望でも買っておこう!
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K2シロップを飲ませ忘れたときは
カレンダーに書いておこうが、アラームで知らせようが忘れる時は忘れます。子育て忙しいですしね。
慌てずに気づいたときにあげましょう。
月曜日にあげていたものを忘れてて火曜にあげた場合、次はまた月曜日にあげれば大丈夫です。あまりにも日数が経っていた場合には産婦人科に相談してください。
K2シロップを吐き戻したときは
少したらーっと吐いたくらいなら問題はありません。また、30分以上時間がたっていれば飲めていると判断していいようです。
大分吐いたなーと思うときは次回の分をもう一度あげます。
もしきちんと飲めていたら、ビタミンKの摂りすぎになるのではないかと心配になりますが、ビタミンKは過剰摂取しても毒性はなく、心配はないと言われています。
足りなくなった分は産婦人科でまたもらってください。
K2シロップをあげた後はすぐに寝かせない、頭の位置を少し高くする、縦抱きをするなどして、なるべく吐き戻さないように気をつけた方がいいですね。
ママも意識してビタミンKを取ろう
ママがたくさんビタミンKを摂取することで、母乳にもビタミンKの量が増えるそうです。微々たるものでそんなに効果はないという意見もありますが、健康にいい食材ばかりなので意識的に食べてみるといいですよ。
- 濃い緑色の野菜(モロヘイヤ、ほうれん草、シソの葉、バジルなど)
- 海草(のり、昆布、わかめなど)
- 緑茶、抹茶
- 納豆
- チーズ
飲ませ忘れても吐き戻してもあわてないで
K2シロップを3ヶ月まで飲ませるかどうかはお医者さんや助産師さんによって意見が分かれているそうです。
2年前に生まれた娘は同じ病院で産みましたが、当時は1ヶ月健診までの3回投与でした。最近別の病院で産んだママ友も3回投与で、自分で飲ませたことはありませんでした。
現在、日本で推奨されているガイドラインでも投与は3回です。
2009年に山口で起きた新生児のビタミンK欠乏性出血症による死亡事故も、この最初の3回を助産師が飲ませなかったことが原因です。
3回しか投与されていないうちの娘も、ママ友の子どもも何事もなく元気に育っています。しっかり3回飲ませていれば、追加投与はしなくてもさほど問題はないのだと思います。
それでも産婦人科でおすすめされたら親としては必ずやってあげたいと思うもの。私が産んだ産婦人科でも、追加投与を拒否するママは1人もいないそうです。予防接種の任意接種と一緒ですね。
自分の産んだ産婦人科で追加投与がなかったら、一度どういった方針なのか聞いてみるといいでしょう。
自分の子どもを守るために大切なこと。面倒でも、うっかり忘れそうになっても、やらなくてもいいのかもしれなくても、できる限りのことはしてあげたいですもんね。
ただ、繰り返しになりますが、病院でしっかりと3回飲ませてくれていればほとんど重大な問題はおきません。1回くらい飲ませ忘れたり、吐き戻してしまったりしても、あわてなくて大丈夫です。
新生児のお世話は心配なことだらけで不安だと思いますが、ママがゆったりした気持ちで笑って子育てすることが一番です。