2013年秋、むすめを出産しました。
初産だったので時間がかるだろうと言われていましたが、陣痛開始から出産までかかった時間はたったの4時間。
スピード出産の安産だと言われますが、実際のところは安産ではありませんでした。
自分が妊娠中に出産レポートを読んで身構えていたので、妊婦さんの参考になればと思います。
出産2日前には「まだまだ」と言われていた
予定日よりもちょっと早めに、ちょっと小さめに産みたいなぁと思っていた私。
小さめといってももちろん2500gは超えていてほしい。3000g超えたらちょっとしんどいかも。エコーで見た赤ちゃんの大きさは2500gを超えていて、ちょうどいい感じ。
「下がってきてはいるけどまだまだかなぁ」
先生の言葉に私はちょっとがっかり。まだ会えないのかぁと思いながら、帰宅しました。舟漕ぎ運動などをして、早く出てくるようにやれそうなことをやっていました。
38週6日 陣痛は突然に
出産の前兆はまったくなし。
出産前日は23時までテレビを見てゲラゲラ笑い転げ、何事もなく就寝。この様子を見て父は「今日は絶対に生まれないな……」と判断し、寝酒をして就寝しました。
2時にトイレに起きるのはいつものこと。「今日は何回トイレに起きるんかな……」なんて思いながらトイレを済ませ、立ち上がった瞬間。
ズドンッ!!
と、何かが骨盤にはまった感覚。同時に腹痛。
聞いていた通り、生理痛のような痛みでした。生理痛なんて久しぶりすぎてわかるのかなぁって思いましたが、実際にきてみると「ああ、この感じだ!」ってすぐにわかりました。
よろよろと寝室に戻り陣痛アプリを起動。間隔を測ると……なんと5分おき。最初から超クライマックス。
たまごクラブには陣痛始まっても最初は間隔がかなり空くから、その間に入院準備とかシャワーを浴びておくとかご飯を食べておくとかした方がいいとか書いてあったけど、無理。間隔ない。
私は1階で寝ていたので、2階で寝ている母親を電話して起こしました。ここでとりあえず一度、産院に電話。
「初産ですよね。まだだと思うのでもうちょっと自宅待機してみてください」
「え、どのくらいですか?」
「それだけ話せてればまだ大丈夫ですよ」
とっても呑気な感じで言われましたが、陣痛がきている最中は結構痛かったです。でも、もともと痛みに強い方らしく、陣痛がきてもいつまでたっても話せる感じでした。
とりあえず待っているうちに2分おきになってしまい、これは本当にいいのか? 実は気のせいなのか? 本当は陣痛じゃないのに痛い気がしている……私はびびりなんだろうか……と悶々と思いつつも、これはやばいと、もう一度電話。
「帰ってもらうことになるかもしれませんけど、一応どうぞ」
信じてもらえない悲しみと夫に連絡がつかない(寝てました)不安に包まれたまま、母とともに産院へ。
陣痛の波が来ていない数分を使って移動。陣痛中は固まるしかないです。本当に痛い。
「振動がぁ、振動がぁ……つらい!」
と車を運転する母に訴えるも、どうにもならず。陣痛中の車の振動はかなりこたえるので病院は近い方がいい。そして振動の少ないハイブリッド車がいい。
病院に着いてから2時間で出産
病院に着くと3つあるLDR(陣痛、分娩、産後の回復を全て同じ部屋で行える個室)は満室。出産がかなり重なっているようでした。
病室で子宮口を見てもらうとすでに全開。
「やだ、最後に来て最初に生まれるかも!!!」
だから陣痛5分おきだって最初の電話でも言ったし、さっきの電話でも2分おきだって言ったじゃないか!!
慌てて先にLDRに入っている妊婦さんを移動させる助産師さん。私はとりあえず手術室で一人待たされ、痛みに耐えながら立ち尽くしていました。足が痛みでガクガク震えてつらかったです。
母から夫に連絡がついたことを聞かされ安心するも、里帰り先までは2時間ほどかかるので、夫が到着するまで母に立ち会ってもらうことになりました。
「いたたたたたたたったった!!(めっちゃリズミカル)」
昔から緊迫感のない娘だとは言われていました。ふざけてんのかと。本気さが伝わらないと。今回も本気で痛かったんですが、あまり伝わらず。
ただ、実際どこか冷静ではありました。
冷静でいられたのはたぶん、どこかの部屋からとてつもない絶叫が絶え間無く響いていたから。めちゃくちゃ痛そう。
「あのくらい痛くならんと生まれないんだね、きっと」
「うん、だから、まだまだだと思うよー」
産む直前までずっと母とこんな会話をしていたので、私は相当鈍いんだと思います。でもおかげで、痛いけど痛くなかった。
いきんでいいと言われていきんで、上手だよ~と言われ、だんだんだんだん痛みが下の方にきているのはわかりました。でも、よく雑誌に書いてあるような鼻からすいかともトラックに腰を踏まれているともハンマーで殴られているとも思わず。
ただ、すんごい熱い塊が股に挟まっている感じはありました。
ずっと考えていたのは、赤ちゃんが下に下に降りてくるイメージ。ママが呼吸しないと赤ちゃんが呼吸できない聞いていたので、ひたすら深呼吸していました。
「もう生まれるから先生呼んでくるね」
会陰切開をする方針の病院だったので、助産師さんが先生を呼びに部屋を出ました。その瞬間、詰まっていたものがポンっと抜けた感覚が。
「なんか出た! なんか出た!!」
戻ってきた助産師さんと先生に赤ちゃんを取り上げてもらい、無事出産。
めったに泣かない母が泣いていたのが印象的でした。
抱かせてもらったむすめは小さくてとってもかわいい。
自分が生んだという実感がまだなくて、ふわっふわしたまま、むすめは体をきれいにして身体測定をするために連れていかれました。
血が止まらなくて緊急搬送
赤ちゃんとの対面を済ませ、会陰縫合。先生が間に合わなかったので、普通に裂けました。
麻酔をぶすぶすとされ、チクチク縫われる。地味に痛い。
「いたっ! 痛い! いたたたた!」
出産に耐えたのに会陰縫合ごときで大騒ぎ。先生は「麻酔けっこう多めにしてるよー」と呆れていました。私はこういう地味な痛みの方が弱いです。紙で指切るとかもすごく苦手。
でも縫っている先生が「血が止まらないなぁ……」と言い出しました。このまま止まらないと救急搬送だと。
結局、私の血は止まることなく、救急車が呼ばれることに。やけに深刻な顔をした先生と助産師さんが「私たちも一緒に行くからね、心配ないからね」と励ましてくれました。が、私はとくに痛みもなく、状況がわからないまま。
途中、驚いた顔の父と、ようやく到着した夫とすれ違ったけれど、一言も交わすことなく救急車に乗せられました。
病院に来るときと同じ。振動が少し体に響いて痛いなとは思っていました。
実は私は膣壁血腫といって、赤ちゃんが出てくる時に産道が傷つき出血、それが大量に溜まってしまっている状態だったそうです。
「1年に1人出るか出ないかという症例だけどよくあることだから大丈夫!」と、「よくあるのかレアなのかどっち!?」と突っ込みたくなるような説明をされ、手術を受けることになりました。
膣壁血腫というのは、本当はめちゃくちゃ痛いらしいです。出産よりずっと。ベッドの上でもんどり打ってもだえるくらい痛いらしいです。
……痛くなかったです。 正直、陣痛も出産も膣壁血腫とやらも、聞いていたほどの痛みではなかった。私は運がよかったんだと思います。
膣壁血腫の話は出産とは別の話になってくるのでまた今度詳しく。とにかく、私は出産よりも産後の方が大変なことになってしまったのでした。
出産はやっぱり奇跡
初産だからとか関係なく、出産は人それぞれ違うものです。
私のように最初から5分おきで陣痛がきてしまって、4時間くらいでスポンって産んでしまう人もいます。しかもそこまで痛くなかったという……。
人によっては4日くらい陣痛があったり、痛みで気を失ってしまったりする人もいます。
自分がどういう出産をするかはわかりません。
でも、乗り越えたときの感動はみんな一緒。赤ちゃんに会えた時の喜びは本当に言葉では言い表せません。
痛いのはつらいけれど、膣壁血腫は一歩間違えれば死んじゃうような事態でめちゃくちゃ怖いけれど、でもでも、やっぱりそんなものが吹っ飛んじゃうくらい、出産はすてきなものです。
陣痛は赤ちゃんが出てくる手助けをする大切なもの。もうすぐ赤ちゃんに会えるという証。上手に乗り越えれば怖くありません。膣壁血腫もまれなケースで、私の周りで体験した人はほかにいません。大丈夫。
私が出産を痛みをあまり感じずに乗り切れたわけや、膣壁血腫のこと、入院中の記事も今後書いていきたいと思います。